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ロジャー・エバート氏も絶賛した『シンプル・プラン』

 アメリカを代表する映画評論家ロジャー・エバート氏が4日、米シカゴで亡くなった。

 映画.com ニュースによると、「67年4月3日から米シカゴ・サンタイムズ紙で連載を開始した映画評コラムは、死去の前日に46周年」とか「75年には、映画評論家として初めてピュリッツァー賞を受賞」とか「06年のガン切除手術で下あごの一部を失い、しゃべることができなくなったが、その後も精力的に活動を続け、ブロックバスターからアート系、外国映画まで幅広く鑑賞し、昨年は300本の映画の評論を行った」とか、凄い話ばかりだ。冥福をお祈りしたい。

 さて、本日、「西川美和監督のネタ帳か?」とまで思えるサム・ライミ監督の『シンプル・プラン』、という文章を書いた流れで、rogerebert.comの『シンプル・プラン』の映画評を見たところ、絶賛されていたので紹介したい。

 『シンプル・プラン』はさまざまな点で今年最高の映画の1本だ。聴衆は息つく暇もなく、積み重なっていく悲劇に釘付けにされる。駄作『ベリー・バッド・ウエディング』と同じく、仲間たちが犯罪に手を染め、それを隠そうとしてさらに大きな犯罪を犯していく。だが、『ベリー・バッド・ウエディング』が主人公を馬鹿にしているのに対し、『シンプル・プラン』は道徳的な暗示に直面する点が異なる。私たちは、ストーリーの外に立ち、高みの見物をすることができない。登場人物たちが妥協して予期せぬ結果に至るにつれ、だんだんストーリーの中へと引きずり込まれていくのだ。

"A Simple Plan" is one of the year's best films for a lot of reasons, including its ability to involve the audience almost breathlessly in a story of mounting tragedy. Like the reprehensible "Very Bad Things," it is about friends stumbling into crime and then stumbling into bigger crimes in an attempt to conceal their guilt. One difference between the two films is that "A Simple Plan" faces its moral implications, instead of mocking them. We are not allowed to stand outside the story and feel superior to it; we are drawn along, step by step, as the characters make compromises that lead to unimaginable consequences.


 エバート氏はさらに、主要人物を演じた俳優陣についても「flawless」と書いている。 

 ビリー・ボブ・ソーントンが怪演するジェイコブについては、弟に「お前との共通点はラストネームだけだ」と言い放つシーンと、弟から「兄さんにも昔、カノジョがいたじゃないか」と言われて「あれは高校の友達同士で『1カ月だけあの男と付き合って我慢できたら100ドルあげる』っていう賭けをして、それで彼女は僕と付き合ってくれていただけなんだ」というシーンを挙げている。
 (私はそれに、いきなり弟を昔住んでいた家に呼びつけて「俺はこの町を出て行きたくない。この家を買い戻してすみたいんだ」というシーンを挙げたい)

 あと、先ほどの記事で『ファーゴ』に似ていると書いたが、エバート氏によると、サム・ライミはコーエン兄弟と友人で、『シンプル・プラン』を撮る際、『ファーゴ』で雪景色をどうやって撮ったかを教えてもらったという。
 他にも、冒頭のカラスやキツネに言及してあったりと、いろいろためになる話だった。
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オバマの出現と熱狂を予言した(?)映画『ヒップホップ・プレジデント』

アメリカ英語



 初の黒人大統領誕生をネタにしたクリス・ロックの初監督作品『ヒップホップ・プレジデント』(Head of State)が作られたのは、ジョージ・W・ブッシュがまだ1期目の2003年。当時、一介の地方議員に過ぎなかったバラク・オバマが民主党大会でケリー候補の応援演説に立ち、一躍注目を集めた前年だ。
 オバマが再選を狙う米大統領選挙が進行中の2012年の現在からすれば『ヒップホップ・プレジデント』の新鮮味は少々薄れるかもしれない。だが、逆に言えば、この作品はオバマの出現と熱狂を予言した作品と言える。

◆That ain't right!

 クリス・ロック扮する市会議員が突然、党の上層部から「アメリカ大統領選に出ろ」と持ちかけられる。クリス・ロックは「南アメリカ? 北アメリカ? マジかよ!」と驚きつつ、選挙活動を始め、支持率を一ケタ台からじりじり上げていく。

 紋切り型の演説を繰り返す白人政治家に、リズム感あふれるスラング交じりの弁舌で切り込む。スタンドアップ・コメディー出身のクリス・ロックの真骨頂が見られるのは、演説シーンや討論会のシーンだ。米国の現状を「That ain't right!」と何度も繰り返しながら批判し、対立候補の副大統領に「お前には経験がない。素人(amateur)だ」と突っ込まれると、「Yes, I'm an amateur. キング牧師だって若かった。みんな最初は素人だ。Yes, I'm an amateur.」と逆手にとる。
 2012年からみれば、このスタイルはYes we canを繰り返したオバマそのものだ。オバマも実際、2008年の大統領選の際に、黒人スラングに由来するain'tを用いたりもしている。オバマは『ヒップホップ・プレジデント』を観たのだろうか?






◆God Bless (only) America?

 ただ、オバマとの違いがある。クリス・ロックは討論会の最後に「God bless America(米国に神の祝福を)だけど、ジャマイカとかハイチでも貧しい人たちが暮らしている。米国以外の国にも神の祝福を!」と語る。だが、オバマは中間選挙で負けて以降、国内の景気や失業などの問題にかかりきりで、「米国以外の国にも神の祝福を」と考える余裕はなかったようにみえる。おそらく、今年の大統領選でもこうした余裕はないだろう。世界の覇権を握る米国の大統領が、果たしてこのような姿勢でよいのか?

 オバマ旋風が起きていた2008年、日本でもオバマブームのような状況になっていた。だが、村上龍は熱狂する大衆を尻目に、編集者ノブエに対して「なんでそんなに日本人が盛り上がる必要があるの? オバマだろうとマケインだろうと、日本人の生活はほとんど何も変わらないのに」と語っていた。その冷めた言いぶりが当時は妙に印象に残ったが、今思えば村上龍の発言は正しかった。オバマ政権は米国人以外には関係ないものになっているからだ。
 オバマ大統領には、今こそ『ヒップホップ・プレジデント』の討論会のシーンを観て(観直して)もらいたい。



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