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オバマの出現と熱狂を予言した(?)映画『ヒップホップ・プレジデント』

アメリカ英語



 初の黒人大統領誕生をネタにしたクリス・ロックの初監督作品『ヒップホップ・プレジデント』(Head of State)が作られたのは、ジョージ・W・ブッシュがまだ1期目の2003年。当時、一介の地方議員に過ぎなかったバラク・オバマが民主党大会でケリー候補の応援演説に立ち、一躍注目を集めた前年だ。
 オバマが再選を狙う米大統領選挙が進行中の2012年の現在からすれば『ヒップホップ・プレジデント』の新鮮味は少々薄れるかもしれない。だが、逆に言えば、この作品はオバマの出現と熱狂を予言した作品と言える。

◆That ain't right!

 クリス・ロック扮する市会議員が突然、党の上層部から「アメリカ大統領選に出ろ」と持ちかけられる。クリス・ロックは「南アメリカ? 北アメリカ? マジかよ!」と驚きつつ、選挙活動を始め、支持率を一ケタ台からじりじり上げていく。

 紋切り型の演説を繰り返す白人政治家に、リズム感あふれるスラング交じりの弁舌で切り込む。スタンドアップ・コメディー出身のクリス・ロックの真骨頂が見られるのは、演説シーンや討論会のシーンだ。米国の現状を「That ain't right!」と何度も繰り返しながら批判し、対立候補の副大統領に「お前には経験がない。素人(amateur)だ」と突っ込まれると、「Yes, I'm an amateur. キング牧師だって若かった。みんな最初は素人だ。Yes, I'm an amateur.」と逆手にとる。
 2012年からみれば、このスタイルはYes we canを繰り返したオバマそのものだ。オバマも実際、2008年の大統領選の際に、黒人スラングに由来するain'tを用いたりもしている。オバマは『ヒップホップ・プレジデント』を観たのだろうか?






◆God Bless (only) America?

 ただ、オバマとの違いがある。クリス・ロックは討論会の最後に「God bless America(米国に神の祝福を)だけど、ジャマイカとかハイチでも貧しい人たちが暮らしている。米国以外の国にも神の祝福を!」と語る。だが、オバマは中間選挙で負けて以降、国内の景気や失業などの問題にかかりきりで、「米国以外の国にも神の祝福を」と考える余裕はなかったようにみえる。おそらく、今年の大統領選でもこうした余裕はないだろう。世界の覇権を握る米国の大統領が、果たしてこのような姿勢でよいのか?

 オバマ旋風が起きていた2008年、日本でもオバマブームのような状況になっていた。だが、村上龍は熱狂する大衆を尻目に、編集者ノブエに対して「なんでそんなに日本人が盛り上がる必要があるの? オバマだろうとマケインだろうと、日本人の生活はほとんど何も変わらないのに」と語っていた。その冷めた言いぶりが当時は妙に印象に残ったが、今思えば村上龍の発言は正しかった。オバマ政権は米国人以外には関係ないものになっているからだ。
 オバマ大統領には、今こそ『ヒップホップ・プレジデント』の討論会のシーンを観て(観直して)もらいたい。



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まとめ【オバマの出現と熱狂を】

 初の黒人大統領誕生をネタにしたクリス・ロックの初監督作品『ヒップホップ・プレジデント』(Head of S

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