スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

少年もマフィアの下で働く街ナポリ―映画『ゴモラ』



 マフィア組織「カモッラ」に侵されたナポリの人々の生活を描いたイタリア映画『ゴモラ』(日本公式サイト)はいろんな意味で物凄かった。衝撃的過ぎて、映画館で観終わった後、しばらく気分が悪くなった。こんなことはあまりない。衝撃度で言えば、吐き気を催したパゾリーニの『ソドムの市』に匹敵する(2つまとめて「ソドムとゴモラ」)。
 『ソドムの市』は誰にも薦めたくないが、『ゴモラ』はお薦めしたい(あなたに勇気があるなら)。

 『ゴモラ』はカンヌ映画祭のグランプリを獲った映画だが、日本ではいまひとつ反応が足りなかった。
 イタリアのマフィア社会が日本人にとって身近ではないからなのか?(日本にはヤクザがいるから、身近な気もするが)



 『ゴモラ』は5つの物語がモザイク状になっている。

1)服役中のマフィアの家族に給料を届ける仕事をつつましく続ける中年ドン・チーロが組織を裏切る話
2)食料品屋の配達を手伝う13歳の少年トトがマフィアに加わる話
3)産業廃棄物の不法投棄を手伝わされる青年ロベルトの話
4)カモッラ系のアパレル会社で働いていた仕立て屋パスクワーレが、中国系のライバル会社で働き始めたため、命を狙われる話
5)『スカーフェイス』のアル・パチーノに憧れる若者マルコとピセッリがカモッラの武器庫を見つけ、銃器を盗んでマフィア気取りの生活を謳歌する話


 すべて強烈な話だが、とりわけ、トトがマフィアとして認められるための通過儀礼が凄かった。暗い室内に連れて行かれ、防弾チョッキを着た上で、実弾で撃たれて勇気を試すのだ。こんな幼い子が本当にこんなことをやっているのだろうか?
◆ ◆ ◆

 『ゴモラ』の少年たちを理解するために、フランス語ラジオ局RFIのルポルタージュ(フランス語)の内容をまとめたい。

 失業、緊縮財政、教育予算削減、社会保障…。イタリアではさまざまな要因が重なり、多くの子どもたちが教育システムからのドロップアウトを余儀なくされている。
 だからイタリアでは14~17歳の子供の5人に1人(20%)が働いている。これはEU平均よりも5ポイントも高い。
 ユニセフによると、イタリア国内で働く子供は40万人。うち4万人がナポリに集中している。イタリアの人口は6千万人でナポリの人口は100万人。比率的に見ると、教育や貧困をめぐるナポリの荒廃ぶりが分かるだろう。
 さらに、働いている子供の中でも安定した仕事を持つのは45%強程度。残りはその日暮らしで、こうした中からマフィアと関わる子どもたちが生まれているという。


 こういう知識を入れると、『ゴモラ』はまた違って見えてくる。
 ナポリでは2005年から09年の間に54000人の子供が学校に通わなくなった。このうち、38%が13歳以下だという。『ゴモラ』に出てくるトトも13歳だから、この38%に入っている。
 日本人からするとトトは特殊な少年に見えるが、この数字からすれば、トトは決して特殊な少年ではないのだ。
(現に『ゴモラ』では他にもたくさんの少年がマフィア絡みの仕事に従事している)

 原作がノンフィクション小説なので、当然社会派映画なのだが、イタリアについて知れば知るほど、この作品の社会派の側面が見えてくるだろう。
 映画を楽しむには不断の努力が求められる。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
プロフィール

鯖田鮫蔵(さばた・さめぞう)

Author:鯖田鮫蔵(さばた・さめぞう)

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。